2017年7月5日水曜日

【陰隲録】功過格表118 竜宮城の鯛や平目の舞い踊りはそもそも人間が見て楽しいのだろうか?  三十善 冤罪を救おう⑳





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功格五十条(善行のプラス50項目)
・善行の結果として、お礼の金や物品を受けた物を除く

三十善に相当する

◯一人の冤を白にす。





前回の野生のパワーの続きです。


兆候



前回は冤罪回復に二つの宗教が在り、他力本願的な世界宗教と、野生の力の密儀の話でした。

罪と罰は人間世界にしか無いものです。
それよりも上位の天や神仏の世界にはありません。
また、人間世界よりも下の動物世界にもありません。

一般に天を目指し、人間や地を否定する世界宗教と、人間の生命と地を指向する密儀宗教は、一見正反対です。

この二つは、基本、相容れない存在です。
世間的に世界宗教が迷妄なまでの唯心論をこねくりまわすと、生命が動脈硬化を起こし、カウンターとして、怪しい密儀宗教(乱交)が時代の表に、出てきます。

そういう表に出てきた密儀宗教は、どう見ても邪教の類なのですが、これはユング心理学で言うシャドウの類です。

シャドウは表のペルソナ(仮面)の意識が、正反対の可能性を否定した時に出てくる、もう一つの可能性です。
表が極端な偏った状態の時に出てくるだけあって、シャドウもまた極端に偏った代物です。

淫祠邪教として弾圧されるのが常ですが、
(そして実際に淫祠邪教なのですが)
それはあくまでシャドウなので、それが出てきた表の状態がヤバイということの裏返しでもあります。

馬鹿げた邪教が出て来る時は、表の宗教がダメダメだと言う天の差配です。
立川流にしろ、戦前の大本教にしろ、戦後の新興宗教や果てはオウムなどの淫祠邪教は、文字通りシャドウなのです。
表のペルソナがダメな時にカウンターとして極端な状態で出るのです。

占術の世界では、これを「兆候」と呼びます。
地震でも戦争でも、起きる前には何らかの兆候があります。
人体なら重病の前には、様々なサインが出るのと同じです。

宗教がダメというのは、政治も経済もダメダメな時です。
一葉落ちて天下の秋を知るという古人の言葉にあるように、賢者は些細な兆候から、個人の運命や、天下の趨勢を知ることが出来ます。

未来予知は、開運に必要な要因の一つです。
一見関係無いこの与太話も開運に繋がっています。



大地の力


前回も見たように、密儀というのは要するに乱交です。
乱痴気騒ぎのことです。
我が国でも近代以前(下手すれば今でも)田舎でやっているハレの日の乱交文化です。

その目的は、表意識の理性のタガを外し、野生の大地の力を取り戻すことです。
人間は穴に生まれて穴に死ぬように、生命力の本源は大地にあります。
大地は女性原理で地母神です。

グレートマザーの力を定期的に注入しなければ人は生きていけません。
風水などはこの最たるもので、大地のツボの龍穴に先祖の墓というか死体を埋めて、開運効果を図ろうとする術式です。

それゆえに、生を嫌い、大地を呪う世界宗教は、この力を「表向き」嫌います。
大地母神を邪教・悪魔崇拝認定し、死んだら死体は燃やします。
最終目標地点は、天や解脱先です。
大地に残るのは成仏出来ない霊や地に投げ落とされたサタンやルシファーです。
地の中に至っては地獄です。

まあ、今、表向きと言ったように、それでも、大地のエネルギーは有用性があるので、世界宗教も結構利用しています。
風水技術は元より、キリスト教の教会は古代の先住宗教の吉相地に建てられています。
聖母マリアのように、大地の生命エネルギーを完全に無視することは出来なかったのです。

仏教ですら、インドでは最終的に密教を生み出しました。
イスラムに壊滅させられる寸前には、仏教徒は真逆の思想のタントラやヨガなどの肉体生命の権化とも言える教義システムを導入した後期密教(チベット仏教がこれ)になってしまいました。

精神と肉体、天と地という陰陽の相克は、片方が極端に走った時に、片方が出現します。
例えば、上記とは逆に、肉欲ばかりが優先されるような宗教が支配的であれば、そのシャドウとして、極端に精神性が重要視される宗教が出て来るでしょう。

今風にわかりやすく言えば、資本主義と共産主義のようなものです。



資格


古今東西の密儀宗教は、文字通り秘密の存在です。
なんで秘密かと言えば、ヤバイからです。
ハレの日の乱交のように、日常生活でやると顰蹙を買います。

密儀、つまり仏教の密教には、到達点の、チベット密教があります。
それには文字通り、秘密集会(ひみつじゅうえ)という無上瑜伽タントラに分類される経典があるくらいです。

中身は非常にヤバイ内容が満載で、乱交万歳の内容です。
あらゆる罪悪の内容をやろうぜ!という内容なのです。
その昔、空海が最澄に理趣経関連の経典を貸し出し不可にしたことがありました。
ぶっちゃけ、邪教そのものの内容なので、素人が見るとヤバイのです。

立川流が弾圧されたのも、このためです。
※実際にはそれほどヤバイ教義ではなかったという説も。
素人がうかつに密教(タントラが入った後期密教)をやると冥府魔道に陥るのです。

昔のチベットも、タントラのヤバイ教義で淫祠邪教で暴走した歴史があるくらいですので、後期密教などに限らず、密儀を学ぶには、資格がいるのです。

人を殺すのが菩薩の道だー!
などというタントラ密教を師匠無しにやるのは非常にヤバイのです。

資格というのは、最低限、師匠や先達がいたりなど、彼岸から日常に帰ってこさせる役割の人間が必要だということです。
もちろん、本人も、密教を学ぶにあたる資格がいります。
信用性や学識や戒律などです。

密儀の本質性は日常空間に封印されていた生命の力を取り戻すことです。
そして、取り戻したら戻ってくる必要があります。
いつまでも、大地の子宮の中にいたのでは浦島太郎になってしまいます。

神話では黄泉の国、冥界に降りていった英雄神は、帰ってきています。
逆に言えば、帰ってこれたからこそ、英雄になったのです。
黄泉の国は、居心地が良いのです。
地上よりも、竜宮城での生活が良いのは当たり前です。

だからこそ、戻ってこられるように師匠や戒律や理性などの資格がいるのです。
資格が無いものは密儀(密教)に手を出してはならないのです。

しかし、この密儀は人工的な物だけではありません。
臨死体験などで突発的な運命として、密儀に会うこともあります。
死と再生の儀式こそが密儀のシステムです。
あらゆるサイキッカーや霊能者や神話の英雄は、死と再生の儀式を経験します。

逆を言えば、死と再生の密儀を人為的に運命的に経なければ、彼らは新しい人生のステージに到達出来なかったと言えましょう。

生き残った彼らの背後には、帰ってこれなかった密儀体験者の死体の山が積まれているのです。

しかし、皆さんの場合は、こんな危険性はかなり低下されています。
人生の次のステージに進むに当たって、今までの自分を殺し新しく大地で生まれ変わる密儀はやはり必要です。

しかし、陰徳を積んでいる物は、VIP待遇で通過出来ます。
そもそも、死と再生が危険というのは、通常の死と再生で言えば、死に際が良くないだの転生先が悪趣だと言うのと同じです。
陰徳を積んでいる者は、死に際も転生先も良いのです。

普通なら死の危険性がある密儀も、何のこともなくあっさりと通ってしまうでしょう。

徳を積んでいる者にとって、その徳がレベルアップのリミットに達すれば、別に自分が探すまでもなく、その機会は向こうから訪れます。
その際に、まだ不安だったら、辞退して徳を積むのを再開すれば良いのです。

密儀は所詮、裏の道です。
表街道を歩む者にとっては脇道に過ぎません。
顕教も密教も、徳の結果に過ぎないのです。
陰徳こそが真の密教なのです。




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