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功格五十条(善行のプラス50項目)
・善行の結果として、お礼の金や物品を受けた物を除く
五十善に相当する
◯一の主なき骸を埋む
【とてもわかりにくい説明の密教の歴史】
仏教の異端の極北はやはり密教です。
何しろ、仏教史のラストに出てきた宗派です。
インドで当初は隆盛を誇った仏教も、やがてヒンドゥー教に押されるようになってきます。
まあ、当たり前の話で、仏教はストイック過ぎるのです。
出家主義者の釈迦が作った宗教ですので、民衆は置いてきぼりです。
大乗仏教に入って、まだ民衆よりになってきましたが、それでも、インドの民族宗教には、生活レベルの伝統の積み重ねが存在しません。
ヒンドゥー教はカースト制度など、ろくでもないシステムがあるのですが、それでも中国やユダヤと並ぶ超歴史国家です。
文明文化の積み重ねは相当な物で、食から建築から戦争まで膨大な叡智が積み重なれています。
我々日本人の感覚だと、中国の文化のようなものですね。
日本は海があるからまだましですが、その圧倒的な文化力はのきなみ浸透力があります。
東南アジアなどはインド文化と中国文化の相克で出来ていますが、当時の仏教もやはりその勢いには勝てません。
釈迦当時は、バラモン教に反論する期待の哲学ルネッサンスだった仏教も、徐々に形勢が悪くなります。
皮肉にも、そのヒンドゥー教の哲学レベルをアップしたのは、論争敵だった仏教です。
仏教と同じレベルまで上がっていきます。
※というより仏教の方がインド哲学の亜流なのですが。
そのため、仏教もいつまでも初期のストイック主義のままでいられずを捨てていきます。
元々、大乗仏教という民衆をパトロンにした分派が出来ていましたが、さらにそれが加速していきます。
具体的には、インドの他宗教の祭儀や呪術を導入。
さらに、おなじみのヨガも導入。
チャクラやプラーナ(気)やナディ(脈管、経絡)など、ヨガ用語が登場します。
さらに、タントラ(性的な宗派)も取りいれ、魔術的セックススキルも完備。
タントラのヤバイ側面の、欲望肯定や倫理破壊なども取り入れました。
こうして出来た仏教の進化形が密教です。
日本にも真言宗や天台宗などがありますので、どういうものかはなんとなくおわかりかと思います。
日本の密教は中期密教なので、さすがに、反倫理的な面は少ないのですが、それでも、かなり崖っぷちです。
チベット密教になると、もうキリスト教カルトから悪魔崇拝呼ばわりされるレベルにまで到達しています。
まあ、上記のように、いかにもネタに困らない宗教なので、よく現代日本でも宗教物のネタにされます。
ゴーストバスターズからセックス邪教まで、ネタがより取り見取りなので当然です。
で、このせっかく、進化した(というよりヒンドゥー教と大して差が無くなった)仏教ですが、第三勢力によって、あっさりインドから消滅してしまいます。
当時の新興世界宗教のイスラム教です。
中東から軍事侵攻してきて、インド自体がボコボコにされました。
さすがに、インドの民族宗教だったヒンドゥー教は、消滅しなかったのですが、仏教は壊滅しました。
現在、インドでの仏教はマイナー宗教です。
日本におけるキリスト教レベルのマーケットです。
まあ、世界宗教はイスラム教除いて、基本、故郷の国では国教にはなれないのが基本です。
むしろ、故郷で弾圧されて、世界で脱ローカルに成功して、世界宗教になるというルートが基本です。
世界宗教になったけど消滅したマニ教などもこの類です。
仏教も、東南アジア、中央アジア(現在はイスラムに制圧)、東アジアとアジア全域に広がって、世界宗教として君臨しています。
故郷でボコボコに弾圧されたどころか、弾圧する側に立っているくらいです。
で、なぜか書いている内に、密教と言うより仏教の歴史になっていますが、要するに、この密教が仏教の最終進化形態です。
大雑把に密教の歴史を言えば、
インドの呪術を取り込んだ初期密教(修験道とか役行者とか若い頃の空海が修行してたのはこの段階です)。
呪術だけだとしょぼいので、経典とか作って哲学体系づけた中期密教(日本の真言宗とか天台宗とかはこの段階です)。
上記したように、タントラとかヨガとか導入して肉体レベルの修行法を取り込んで、さらに哲学も膨大に体系付けた後期密教(チベット密教がこの段階です)。
こんな感じです。
で、この密教がこれまたネクロフィリア(死体愛好)が大好きな宗教です。
というより、専門家ですね普通に。
【ほの暗い闇の底で】
柔よく剛を制すという言葉があります。
また、毒を持って毒を制すという言葉もあります。
要するに、強力な敵がいた場合、真正面からぶつかる方法以外にも策があるのです。
自分の煩悩と戦う宗教の世界にもこれが適用されるのです。
【陰隲録】改過の章に入る前に、そもそもの前提
↑でも述べましたが、基本、修行が高まれば高まるほど、深まれば深まるほど、潜在意識の集合無意識は危険度が増します。
深海のように異形の者が跳梁跋扈する世界です。
個人の先祖の人類の生物のあらゆる欲念が渦巻く、魔界です。
世界のあらゆる冒険譚や神話は、この潜在意識の物語です。
潜在意識の奥底にある、集合無意識の元型は普遍的な物であり、だからこそ、世界の神話は同じような構造を持っています。
人類自体もろくでもない存在なのですが、潜在意識というより脳は、古い生物からの進化系統を重ねています。
外側の人間の理性を剥ぐと、動物脳が出てきます。
その奥になると、動物というより原始的な生物の脳です。
けだものにはまだ感情がありますが、爬虫類、両生類、昆虫と進化図を遡っていくと、もはや生存本能だけです。
一切の言葉が通用しない世界です。
こうした世界は、個人のトラウマや闇やコンプレックスと共に、修行の階梯の障害者です。
原初の力への防衛者と言ってもよいでしょう。
この番人を倒さなければ先に進めません。
ドラゴンを倒さないと、財宝も姫も手に入らないのです。
その意味で、世界中の全ての人間は、ドラゴンクエストを強制プレイされているのです。
これが本当のファンタジーの異世界転生です。
【裏口入学】
普通の宗教や英雄は、こうした潜在意識の世界には、ごく普通にクエストします。
古のヒーローのように、真正面から戦うのです。
仏教も基本同じです。
煩悩と戦いそして勝利します。
しかし、世の中には、何であれ、裏道から入る策があります。
煩悩と真正面から戦おうとしないで、煩悩を利用してさらに、あわよくば悟りや解脱に利用しようという発想を持つ人間が先達には存在しました。
中国の皇帝が、凡俗のまま、不老不死を得ようと画策したのと一緒です。
仕組みさえ理解すれば何事もショートカット出来る物です。
別に煩悩を敵に回さずにとも、意識のシステムを理解してさえすれば、戦わずに済みます。
ファミコンで裏ワザを知っていれば、チート無双が出来るのと一緒なのです。
賄賂を積んで裏口入学するのと同様です。
もっと言えば、いずれ科学が進めば、悟りだろうが、解脱だろうが不老不死だろうが、科学の力で何とかなってしまうでしょう。
今話題にしている密教のようなやり方すら「めんどくさい」方法になるでしょう。
昔は水を汲むのに、井戸から組まなければいけませんでした。
今は、水道から蛇口を捻ればいいのです。
それと同じことです。
まあ、そこまで行くのは後の時代(と言っても数世代後くらいでしょう)と思いますが、ひとまず密教の話に戻りましょう。
ちなみに、まるで密教が即効性のあるような書き方をしていますが、厳密に言えば、それほどでもありません。
こう言ってはなんですが、密教も結構、正攻法でやるのと同じくらいの手間がかかります。
他宗派に比べてと言っても、瞑想専門にやる禅や上座部と比較すれば、大してスピードは変わりません。
一日中、瞑想出来るような環境ならば、正直、密教だろうが何だろうが大して変わらないのです。
じゃあ、何で出家してる坊主は悟ってないんだ?
という話ですが、簡単な話で、瞑想してないからです。
釈迦もイエスも出家して一日中瞑想してるような環境で悟ってます。
出家と言っても、経を読んだり掃除したりと日常業務の労働をやらざるを得ない環境では、あまり意味は無いのです。
一日寝るとき意外はずーっと瞑想してるような生活を、半年~一年くらいやらないと、意味がありません。
当たり前の話ですが、釈迦が悟ったのは、苦行が意味無いものと悟って、菩提樹の下で瞑想して悟ったのです。
その意味で、仏教の本義は瞑想することです。
肉体修行している余計な時間を、全部瞑想に当てれば、いいだけのことですね。
上座部も密教も禅も、瞑想以外に余計な労働や苦行をするシステムが無ければ大してかわりません。
まあ、瞑想法がそれぞれ違うので、悟った内容や境地は別物でしょうが、一般人から見たら、聖者です。
なんか、ネクロフィリアの話からそれていますが、次回こそ本題に戻しましょう。
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