2017年3月21日火曜日

【陰隲録】功過格表㉙ 異世界転「え?ニートの僕(皇帝陛下)が神様に?」 五十善 。野ざらし死体を埋めよう②




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そしてそれが、さらに陰徳になるという、好循環のスパイラルです。


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功格五十条(善行のプラス50項目)
・善行の結果として、お礼の金や物品を受けた物を除く

五十善に相当する

一の主なき骸を埋む




【不老不死】



万人に平等に訪れる死ですが、そもそも、なぜ死が起きるのか?

単純に考えれば、生物の進化のためです。
死なない個体がいたら、いつまでたっても、集団として進化しません。

以前にも指摘しましたが、進化の基本にはバックアップ目的のコピーシステムがあります。

要するに、色んなパターンの遺伝子情報を、撒き散らすことで、全体を保全するのです。
種の大部分が、環境の変化によって滅んでも、部分でも残れば御の字だからです。

同じ種類の遺伝子しかいなかったら、ウイルスであっという間に全滅してしまいます。
死ぬことで、次世代の変化を促進することが出来るのです。

昔から、権力者は、不老不死を望みます。
有名どころだと、秦の始皇帝でしょう。
日本にまで除福を派遣して、不老不死を求めました。

※今、書いていて思い出しましたが、サラリーマン金太郎の本宮ひろ志が、描いてますねその話。

進化の観点からは、一番やってはいけないのが、権力者の不老不死です。

理由は簡単です。
社会が、変化しないからです。

不老不死を成功させた権力者が次にやることは、当然、権力の恒久的な固定化です。

こんな状態で社会が変化して進化が促進するはずがありません。
ゆえに、権力者は不老不死を達成出来ないようになっているのです。

そうでなくても、贅を極めた生活は、権力を誇示するためとは言え、急速に徳分の貯金を目減りさせます。
権力を維持するため、また組織を保つために行う必要悪も、確実に徳分の貯金を目減りさせます。

贅と責任と権力への執着と恐怖は、常に、外界に意識が向きます。
内面に意識を向ける、不老長生や解脱への修行は出来ないのです。

わかりやすく言えば、アウトドア派とインドア派です。

道教(仙道)では、よく始皇帝や皇帝が、仙人に会った話などがよくありますが、大抵、皇帝が仙人にボコボコに論破されて叩かれています。

表の権力(科挙システム)コースから外れた道士のルサンチマン解消話かも知れませんが、言っていることは、養生としては、ある程度正しいのです。

要するに、外界に意識が向きすぎると、不老長生は保てないのです。
喜怒哀楽は気を消耗します。
権力や財力、武力など、要するに社会の責任を追うような職業の人間は、長生きできません。

人界の龍たる皇帝は、あくまで人の世界にしかいられないのです。



【不労不死】


そんな権力者たちですが、なにせ権力と金はあるので情報は集まります。
贅沢をしたまま、不老長生をしたいというWILLの情報です。

虫の良い話ですが、そこは、国家の頂点の権力者の要請です。
全国から集められた、優秀なスタッフは色々考えます。

エジプトの昔から、今に至るまで、この権力者の切なる願いを叶える方法を、賢者達は、一生懸命編み出しました。

今回のテーマでもある「死体」を使った、方法もその一つです。

元々、古代の権力者達は、不老不死や解脱をを願っていました。
が、それをするのに、世俗を捨てて、修行するということはしませんでした

まあ、究極の捧げられる存在としては、当たり前です。

こういうと、王子だったのに出家した釈迦が偉い、という話になりますが、釈迦の時代の王子は、王子と言っても、せいぜい地方豪族程度に過ぎません。
しかも、釈迦が出家後、あっけなく隣国の大国に滅ぼされているような雑魚国家です。

むしろ、釈迦が、これ幸いと逃げ出した形ですので実際は対して偉くないでしょう。

要するに、権力者は、わざわざ世俗を捨てることはしないのです。
権力闘争中で嫌気がさしたとか、失脚したとかなら話は別ですが。


これが、修行しないで、不老不死や解脱を成し遂げたいという虫の良い話に繋がってきます。

そのため、担当者は、この無理や要求に、試行錯誤する羽目になります。

例えば、一般に修行は禁欲が求められます。
しかし、セックスを禁欲しないで、セックスしたまま修行になる房中術。

美味しいものを食べながら修行が出来る、地丹法(今で言う薬膳)。
これは西洋では錬金術の分野です。
東洋では煉丹術ですが、水銀摂取でばんばん歴代皇帝が死んでいます。

ある意味、皇帝による人体実験ですね。

でも、これらは、あくまでも生きている間の代替修行です。

これすらも、めんどいということで、死んだ後、古墳内で神になるよう、風水を調整した技術もあります。

もう、究極のめんどくさがり用の技術です。

本人は何もする必要がありません。
現代日本で流行りのニートが死後、異世界転生でチート無双するのと何ら変わりません。

古墳という装置で、死後、神になることが出来るのです。
エジプトのピラミッドもこの手の類です。
死後も権力者が神になるように構築されています。

道教や仙道にはこの手の話が結構有り、元々は、権力者が死後も神になることを目的とした技術だとわかります。

日本の古墳も同じ類です。
古代エジプトの時代から、神になれるのは、権力者だけでした。

庶民はよくわからない黄泉の国に行ったり、山の先祖霊の元に帰ったり、カオスの中に戻るだけというのが、古代の死後感です。

枢軸宗教の世界宗教が出来てから、万人に、信仰や善行に応じて、死後の世界でのランクアップが可能になりました。

今でこそ、庶民も、善行や信仰で死後に神になったり天国に行けたりしますが、古代は、神になれるのは一部の権力者だけです。

やはりここらへんは、世界宗教のテーマが、庶民というか大多数の一般人への市場開放というのがよく分かる例です。

日本だと、鎌倉時代の仏教がそれですが、世界宗教から千年二千年遅いので日本だけのローカル宗教になっています。
※それでも、日本内で数千万の信者がいるのですが。

世界宗教になるには、庶民を含めた広い層への、普遍的な教義が無ければ世界宗教にはなれないのです。


さっきの古墳で神になる話ですが、大抵は盗掘されて台無しに終わります。

まあ、ここらへんは結局、陰徳なのです。

風水にしろ何にしろ、徳無き物は、術は使えません。

方位も風水も人間が使うのではなくて、実は向こう(の世界の住人)が使うのです。

大自然の精霊や、神仏という意識体なのかはともかく、皇帝が権力にあかせていい風水や術を使っても、台無しにしてしまうのです。

ここらへんを見ると、やはり陰徳こそが最大の開運方法だとわかります。
そもそも、陰徳を積んでいけば、死後は天国に行くなり、天界に行くなり天人になるなり、要するに神になるのです。

古代の王様しかなれなかった死後の神様ジョブの獲得は、現代では誰にでも出来るのです。

少なくとも、このブログをご覧になっておられる方々は、死後、神様になって欲しいのです。


ということで、死体の条項は、また次回に続きます。



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