2017年7月7日金曜日

【陰隲録】功過格表120 自然からのメッセージ「滅びよ人間ども」 三十善 冤罪を救おう㉒





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功格五十条(善行のプラス50項目)
・善行の結果として、お礼の金や物品を受けた物を除く

三十善に相当する

◯一人の冤を白にす。




温暖化対策



前回は、せっかく世界宗教が、現世否定の全く新しい宗教を唱えたのに、大衆の需要に応えられないという話で終わりました。

基本的に、世界宗教は枢軸時代という、地球が寒冷期の時代の産物です。
地球が氷河期になって農作物が取れなくなり、狩猟採集としても、木の実や動物が取れなくなった時代です。
こういう時代は、大地の恵みが薄くなります。

人がバタバタ死んで、かつ食物の不足で戦乱が起きて、現世に希望が持てない時代なのです。
こういう時代には、大地の恵みに感謝する自然宗教は、顧客が少なくなり、来世に期待する宗教が需要を持つようになります。

これが世界宗教の萌芽の時代です。
この世の、諸行無常の現象世界を超えた、仮想空間を構築する世界宗教はそれまでの、自然宗教を駆逐しました。

絶対神や無限の愛やら身分や民族に関係ない教義は、それまでの自然宗教より文明的に高度だったからです。
それまでも何回もあった寒冷期とは違って、人類の文明が上がって帝国化したという社会的な事情も布教に助けました。

しかし、当然、寒冷期はいつまでも続くものではなかったのです。
サイクル的に、温暖化の時代も到来します。
そうすると、今度は、大地が豊かになって人々もこの世に希望をもってきます。

平和な時代になれば、あの世よりもこの世に期待が持てるようになりました。
そうすると、この世を否定してあの世ばかり語る世界宗教は、対策に追われることになります。

今まで、解脱だとか神の国は近づいたとか言っているだけでは、民衆の支持を集めることは出来ません。
そのため、今まで弾圧してきた自然宗教の多神教の神々を呼び戻すハメになります。



一神教のキリスト教ですら、この現世肯定の要求には逆らえませんでした。
元々、キリスト教には、現世利益の教義はありません。
終末には信者が救われて復活という教義なので、現世はどうでも良かったのです。

しかし、民衆の要求には勝てず、聖母マリアだの守護天使だの聖人だの悪魔崇拝(キリスト教以前の多神教の神々)を用意せざるを得ませんでした。
クリスマスやハロウィンも本来、異教徒の祭りです。
欧米の金持ちや支配階級に、悪魔崇拝が多いのは当たり前です。
日本で言えば、要するに現世利益の多神教の神々のポジションだからです。



仏教の歴史



仏教も同様です。
世界宗教の仏教ですが、誕生国のインドでは仏教はマイナー宗教です。

成立当初はインドでブイブイ言わせていた時期もあったのですが、対抗するバラモン教がヒンドゥー教になって、教義が整って来ると対抗できなくなり、イスラム教の来襲でトドメを刺されました。

今では、インド国内の仏教徒は一パーセント以下です。

何しろ、ヒンドゥー教は、仏教の「現世はクソだから出家して解脱しようぜ!」という論理以外にもカードを持っています。

元々、輪廻やら解脱の教義はバラモン教時代から持っていたのですが、それに加えてヒンドゥー教は民族の神々に基づいた現世利益カードを持っているのです。

仏教は当初は、出家主義で、在家はお布施マシーン程度の扱いです。
良いことすれば来世で良いところに生まれ変わるよくらいの雑な扱いでした。

しかし、これでは、在家は面白くはありません。

需要があれば供給が生まれるのは、資本主義の鉄則です。
この在家のニーズに応えて、大乗仏教が生まれてきます。

出家と在家の区別を無くした「空」の思想の般若経典類や、阿弥陀仏や法華経など、我々が知っている大乗仏教が生まれてきます。

これらの大乗仏教の特徴は出家と在家の重要性を等価にすることが目的です。
般若心経で、無苦集滅道とか言っているのはこのためです。
※苦集滅道の四聖諦は、仏教の出家の基本公式です。

しかし、これでもまだヒンドゥー教は盛り返してきました。
インド人の民族宗教だけあって、5000年の多神教の力はしぶとかったのです。
絢爛豪華な神話と神々の魅力は、そう簡単に無くなるものではありません。

おまけに今でも世界中が愛好しているヨガなどの肉体的修行法。
性愛まで修行法に昇華したタントラ。
西洋や中国の神秘業に匹敵する魔術体系など。
現世利益と修行を兼ね備えた、豊富なシステムのカードをヒンドゥー教は、持っていたのです。

結局、仏教はこれらも導入しました。
民衆を味方につけるには、ヒンドゥー教をパクるしかなかったからです。
後期大乗仏教の密教は、これらのヒンドゥー教のカードを取り込みました。

神々の言語であるサンスクリットの呪文を真言として。
印や梵字や曼荼羅などの象徴体系や、召喚魔法の儀式のホーマを護摩として取り込みました。

ヒンドゥー教の神々は天部の護法神として取り込みました。
弁財天や毘沙門天やら聖天やら荼枳尼天や大黒天など、我々が知っている仏教の天部の神々は全部、ヒンドゥー教の神々です。

教義も、生命礼賛の教義に変化しました。
大日如来が万物の母である、全ては命なのだとか、自然宗教に近い教義になりました。

外国に仏教が出てもこの傾向は変わらず、ゆく先々で現地の神々を取り込みました。
キリスト教などの一神教ならば殲滅してしまうところですが、取り込んで権現(仮に現れた仏)という名目で存続を許しました。

ちなみに、日本に来た密教は中期密教レベルなので、まだマシですが、イスラム来襲時のインドの仏教は後期密教まで進化していました。
ヨガ(クンダリニーとかチャクラとかも)や性魔術のタントラを吸収して、邪教レベルまでなりました。
これが、チベット密教です。

もちろん、一応仏教なので、なんとかこうにか穏健な教義に収拾しましたが、日本の中期密教ですら、立川流騒ぎがあったくらいです。
性の乱交パーティー上等の教義の後期密教は、相当なゴタゴタがチベット密教史にありました。
今だって経典の内容だけみたら、邪教そのものです。
※お暇な方はググってみると、そのヤバさがわかります。

まあ、後期密教まで行かなくても、日本に来た中期密教レベルでも、今回の自然宗教の需要に応じています。
まあ、日本だと仏教の進化順に来たのではなくて、初めから大乗仏教が大した時間差なしに来ているのですが・・・。



インターフェース


このヒンドゥー教の神々を取り込んだ、仏教の天部は、現世利益担当です。

仏はなにせ、現世嫌いの世界宗教の仏です。

金なんていらない!
女なんて入らない!
出家してひたすら修行している!
という筋金入りのニートの童貞野郎です。

しかし、そうは言っても、金を求める大衆に応えてやらなければいけません。
かと言って、仏自身が金儲けを奨励するのも都合が悪い。

そんなわけで、現世利益担当は、天部が多いのです。

その天部ですが、ヒンドゥー教の神々だけあって、日本の神道と同じです。
自然宗教なので、動物のモチーフが多いのです。
同じ多神教のエジプトの神々と同じで、動物のモチーフの神々です。

神道でもそうですが、神自身は人間型やあるいは形が内にしろ、眷属は動物が一般的です。
八幡神社の鳩や神宮の鶏、熊野の烏、三峯の狼などが有名です。

※稲荷神に至っては、本来、狐は眷属なのに今や、稲荷神自身が狐の神だと思われている始末です。

天部の神々も同じです。
毘沙門天は虎やムカデが眷属ですし、大黒天はネズミが眷属です。
弁財天はヘビですし、頭に乗っている宇賀神はすでに形が人頭蛇体の存在です。
荼枳尼天は狐に乗っているし、摩利支天は猪に乗っています。
さらに、蛇よりも高度な存在?の龍も動物といえば動物です。

これらは、神々が世界宗教の絶対神や教義と違って、現世の自然宗教であることを意味します。
大地母神の担当である大地、すなわち現世の形ある生命は、天地自然です。

自然と人間の中間の生物は動物です。
神である大地母神とのメッセンジャーのインターフェースが動物なのは当然です。

神々自身も、上記した例のように、動物と一体化した形である場合が多いのです。


で、また文章が、収まらなくなったので、次回に続きます。



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