2017年5月11日木曜日

【陰隲録】功過格表69 お前の犠牲の分まで俺は幸せになる義務がある。それが俺のジャスティス 三十善 出家神職帰依させよう⑦





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功格五十条(善行のプラス50項目)
・善行の結果として、お礼の金や物品を受けた物を除く

三十善に相当する

一人の受戒弟子を度す。





【ブラックオブフラック伝承者】


出家させようという話は、今まで述べたように、本人の就職希望というよりは、どちらかと言うと、伝授する側の都合が大きい話です。
こう言ってはなんですが、希望者が少ない売り手市場なのです。
地方やブラック企業の如く、人がいないのでますますブラックになり、さらに人が来なくなるという美しいループです。

そのため、後継者獲得が基本、難しいのですが、その中でも、とりわけブラックな後継者伝授の職種があります。

それは、希少価値や危険性のある情報を持つ系譜です。



よく、一子相伝の秘伝とか言いまわしがあります。
有名なのは北斗神拳でしょう。
後継者候補が何人かいても、伝承者に選ばれなければ拳を破壊したり記憶を消去されたりするデンジャーな流派です。

この手の話はマジで結構あり、実はそんなに珍しい話ではありません。
むしろ、ちょっと前までの人類は大多数がそんな感じです。
理由は、職人の自営業者が多かったので、飯の種の技術は秘伝だったからです。

刀鍛冶の話で、次のような話があります。
日本刀の製造で鉄を冷やす温度は、刀鍛冶師の秘伝だったのですが、弟子が技術を盗もうとし、腕を水の中に入れて温度の情報を盗もうとしたら、師匠が腕を切り落としたという話があります。

まあこういうろくでもない話は、普通にあったのですが、その中でも、特に危ないのが刀鍛冶などの普通の職業ではない連中です。
この手の後継者は、むしろ選ばれたというより、生贄と言った方が良さそうなのです。



【ブラック伝承者ランキング】


その昔、世界の七つの海の下、ユニオンジャックは日の没するところを知らない時代がありました。
その時代のイギリス海軍の兵士調達法は、町中を歩いているチンピラを強制拉致して兵役に入れていました。

そういう、勧誘方法をするところは今でも結構あります。
人手不足がマックスに至ってかつ仕事を無くせない場合は、無理にでも人材を引っ張ってくるのです。

とある忍者の里も、その名前のほのぼのしさとは裏腹に、里で女の子を拉致ってきて村で子供を産ませる機械にしていた風習があります。
閉鎖的な環境では、血が濃くなるので定期的に外部から人を摂取しなくてはいけないからです。

このように人を拉致るレベルよりもう少しマシなレベルが、入会は本人希望ですが、正体を隠してあとで知らせるレベルです。
ヤクザのフロント企業などがそうですし、カルトのフロント企業も同じです。
人様の前に出せる職業では無いので隠しているのです。

さらにマシなレベルならば、秘密結社でしょう。
堂々と表看板を出しているわけではありませんが(秘密結社なので)、コネによって入会者を勧誘します。

秘密結社は宗教的、政治的になんらかの伝えるべき情報があるので、どうしても後継者は必要なのです。

これは、人間が有限の命しかないためです。
不老不死な生物だったら後継者は不要ですが、数十年で死んでしまうので、伝えるべき情報を次世代につなげる後継者が必要なのです。

ちなみに、秘密結社というと夢物語ですが、ほんの前世紀には共産党が秘密結社だった時代があります。
まあ、共産党は今で言うテロ組織(これも秘密結社ですね)なので、当然なのですが、政治思想は今も昔も、地下に潜らざるを得ません。

近代以降、当たり前になった、フリーメーソンの標語の、「自由・平等・博愛」などは、近代以前は危険思想で国家権力によって、即、お縄だったのです。
わかりやすく言えば、江戸時代に、身分制度を批判すればどうなるかはすぐに想像可能です。
あとは政治的な負け組が復権を誓い地下に潜って秘密結社になるケースです。
秘密結社の秘密であるのはこういう理由です。

そして秘密結社と並び、いかがわしさでは双璧を成すのがカルト宗教組織です。
淫祠邪教はいつの時代でも、国家権力が不当に?弾圧します。
中世ヨーロッパで、仏教を布教しようとしたら、即、異教徒認定されて拷問の末、火あぶりです。
まあ、と言っても表に出せない教義を抱えるカルト宗教ですが、そのろくでもない教義は悪徳の魅力が高いためあまり後継者には困らないのですが。

もっと小さな単位の家系単位でもブラック後継者システムはあります。
先祖代々、由緒正しいスパイの家系とかは人類の歴史で普通にあるので、後継者の子供は否応無しに継承されます。
まあ、身分制の時代は、人類がほとんどは先祖代々同じ職業だったので、今更な話ですが、今でも家系単位の継承は珍しくはありません。



【ブラック妖怪】

さて、こうしたブラック継承者は、さきほども言ったとおりある意味、生贄です。
神職は昔は文字通り神への生贄でした。
片目を潰されたり、何らかの欠損を抱える不具にされ、神と人との仲取りを行ったのです。
それは、集団のスケープゴートとして生贄にされたのです。

王の地位も同様です。
王と神職が未分化だった時代は、王は神への生贄です。
卑弥呼の時代を見てもわかるとおり、霊力が無くなった巫女の王は、殺され、後継者に神に祭り上げられたのです。

上記の色々なブラックな後継者はある共通点があります。
それは、ブラックな危険性ということです。
言ってしまえば、死の危険性です。
死と言うのは霊の世界であり神の世界です。
生贄としてのブラック後継者が、死の危険性があるのは、ある意味、当然なのです。
死の世界という霊界・神界・根の国底の国、黄泉の国の境界線に居る物こそが、生贄として神と交信出来るのです。

昔は王として堂々と行っていた生贄が、文明が発展して表立って出来なくなりました。
そのため、現在ではこのようなブラックな後継者の地位に零落したのです。
「妖怪は零落した神々である」
という民俗学の公式は、今でも生きています。

善のイメージである、出家・神職も一皮向ければブラック後継者と、同じ穴の狢です。
ある意味、出家を促すということは、陰徳であると同時に、神への生贄の供物なのです。




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