【弁仏論】因果応報論の一大ネックである差別肯定思想について 反論① 業の不可知性 その⑧

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そしてそれが、さらに陰徳になるという、好循環のスパイラルです。






因果応報という、バリバリの差別思想を、無理やり擁護するための弁仏論を張る豊河。



とりあえず、



①業の不可知性
②業の窃盗自由
③業の空性
④業の無効論

の、4つの反論を無理くり捻り出す豊河。



1つ目の、

①業の不可知性



が、まだ続きがあります。


無明の話の続きです。





仰げば尊し



前回は、

・自由意志などない。
・そもそも、業の中では、自我自体が存在しない。
・業に支配されているどころか、人間（以外も）は業そのものである。
・人間（以外も）は、自由意志が無いということすら知らない無明状態である。

ということの話でした。




この自由意志があるか無いかというのは、
ご存知の通り、間社会にとっては、結構、重要な問題になります。



その理由は、責任範囲が曖昧になるからです。


人を殺しました。
悪いのは業です。
犯人は悪くありません。

はい、無罪。

だと、人間社会の統治が崩壊します。


この自由意志があるか無いかというのは、
ご存知の通り、間社会にとっては、結構、重要な問題になります。



ところが、基本、宗教は、個人責任を嫌います。



理由は、簡単で、宗教は、絶対的な概念を想定するからです。

それは、天であったり、神であったり、仏であったりします。

信仰というのは、当然のことながら、雑魚を崇拝したりはしません。
人間にとって都合の良い存在ということも、重要な選択条件ですが、
それも含めて、強大な力があることが条件です。

これは、当たり前の話ですが、ご利益のない神は拝まれません。
何らかの人間にない力があるから、拝まれるのです。


力というのは、暴力であったり、権力であったり、知力であったりします。
少なくとも、崇拝者を、他宗教の暴力から、守る力がなくてはいけません。


そして、基本的に、文明が進むに連れて、この宗教の崇拝対象は、どんどんレベルアップします。

部族社会から、村社会、街社会、国社会、帝国社会と、どんどん人間組織が拡大していくに従って、

求められる、パワーは増大していきます。


後出しジャンケンのように、後から出来た宗教の方が、

「自分とこの神様は、偉い！ 超偉い！ 前の既存宗教の神はクソ！ それより超偉いのがうちの神様！」

と言い出すからです。



これは、一神教でも仏教でも見受けられます。
人間の思考回路は、そう変わらないのです。


例えば、インドの経典ですが、中を見ると、
バラモン教の地獄よりも、仏教の地獄の方がキツイのです。
そして、仏教の地獄よりも、ジャイナ教の地獄の方がキツイのです。


理由は、後出しジャンケンです。

後に出た宗教の方が、「盛る」のです。

仏教内でも、時代が進むにつれて、ガンガン経典が出来てきますが、

後から出来た経典の方が、今までの経典と仏をけなして、自分の経典の仏の方が偉いと言い張るのです。




これは、別な言葉で言えば、後の宗教の方が、一神教化しやすいとも言えます。

つまり、神様のインフレ化です。

俺んとこの神超強い！
→世界の頂点！
→宇宙の頂点！
→あれ？もう上がねえな？いや、まだある！他宗教の神をヘイトしてマウントとるぞ！
→他宗教の神は悪魔！神はおれんとこだけ！


こんな具合です。

仏教で、後に出来た大乗仏教のさらにあとの方に出来た、

浄土系の仏である阿弥陀如来や、法華経系（法華経は大乗の結構古い系なのですが）の宗派は、

他の仏や経典や宗派をけなして、
自分とこ以外は邪教という一神教的な教義を持っていのはご存知の通りです。

そして、何より、西洋一神教などは、他の多神教全てを悪魔として、自分のところだけ尊しとしています。


で、上記したように、自分ところの神や仏や天が、
時代と社会規模の拡大で、
どんどんインフレ・レベルアップするうちに、
どうしても、宗教は、一神教的な、教義になってしまいます。



「我らが崇める絶対神は、全てを創造し、全てに超越する。そして、全てを支配する。かつ真善美の絶対である」

まあ、崇める対象を極限までプッシュすると、当然、そうなります。

対象が、絶対化するのです。



しかし、ここで一つ、問題が生じます。
そうすると、どうしても次の教義が連鎖リンクするのです。


「神は絶対神である。しかし、そうすると、地上の悪や悪魔や人間の業や意思も同時に、神の意思となる」




この矛盾がどうしても発生してしまうのです。

「何で神はこの世の悪を放置しておくのか？」
「神は全てをプロジェクト（計画）しているならば、我々は神の奴隷なのか？我々には自由意志が無いのか？」

という、ツッコミがどうしても入ります。